今こそフォニックスを!
おわりに
本書の作成にあたり、第一に「日本人児童に本当に合った内容であること」、第二に「日本人教師が現場で実践できる指導法であること」を大切にしてきた。そのため、多くの英会話教室や、すでにフォニックスを導入している小学校の指導内容とは異なる構成となっている。また、音声と文字の関係をより具体的に扱うという点で、新学習指導要領が示す目標を踏まえながら、一歩踏み込んだ内容を目指した。
私は、児童たちの無限の可能性を信じている。言語習得における年齢の影響を考えると、できるだけ早い段階から英語の音に親しみ、音声と文字を結び付けて学ぶ機会を設けることが大切である。遅くとも小学3・4年生の段階から、明示的な音声指導を始めてほしいと願っている。そして、日本人教師にも十分にできる、いや、日本人教師だからこそできる指導があることを理解し、ぜひ挑戦していただきたい。
発音指導も、日本人教師が取り組める分野である。児童が英語の音を身に付けていくためには、音声をよく聴き、自分でも発音してみる経験を重ねることが重要だ。CDやDVDなどの視聴覚教材を活用し、さまざまな英語の音を聴かせ、声に出して練習する機会をつくってほしい。子どもたちは、繰り返し聴いて発音する中で、少しずつ音の違いに気付き、発音する力を伸ばしていく。教師自身が最初から完璧な発音を目指す必要はない。教材の音声を活用しながら、失敗を恐れず、まずは実践していただきたい。
最後に、本指導法の作成にあたり、『Sounds of English』(パシフィックイングリッシュクラブ、2001年)を参考にさせていただいた。日本人学習者に適した教材を提供してくださったことに、心より感謝申し上げる。この教材は現在、市販されていないが、私の場合は小学校の校長先生にお願いして購入していただいた。ご関心のある方は、パシフィックイングリッシュスクール(東京都杉並区)へ直接お問い合わせいただきたい。
自分の考えを「善」と思い込み、一方的に主張することは、傲慢さや驕りにつながりかねない。私自身、その点を意識しながら提案を続けてきたが、思うように進まないことも多くあった。 「Constructive criticism(建設的な批判)」という言葉がある。私の提案も、単なる批判に終わるのではなく、よりよい教育を実現するための建設的な提案でありたいと願っている。そのためにも、自分の考えを絶対視することなく、常に自戒しながら歩んでいきたい。
私の願いは、小学校英語教育に携わるすべての方々、すなわち文部科学省、教育委員会、小学校の英語担当者の皆さまが、現在の指導を丁寧に検証し、児童に適した教授法や教材の改善に取り組んでくださることである。そして、フォニックスを導入する意義についても理解を深めていただき、一歩でも二歩でも、よりよい英語教育に向けて前進していただけることを心より願っている。
作成者
武田 良則
2026年10月26日
