第1章 語彙を増やすには
通常使用される語が数万個あるにもかかわらず、頻繁に使われる単語は、実は一部の限られた単語である。言語学者、ポール・ネーション教授の研究によると、最も頻繁に使用される単語は1000語。英語のネイティブスピーカーの会話で使用される語彙の約85%をカバー、2000語ならば会話の約90%、新聞記事や小説の約80%~90%をカバーしている。語彙全体からすると、ごく少数の単語に使用が集中している。そして、何よりも大切なのは、単語は知っているだけでなく、使えるようになることである。ここまでの語彙数は、いわゆる「受容語彙」の数だ。受容語彙(receptive vocabulary)は聞いたり、読んだりしたときに理解できる言葉のことである。一方、話したり書いたりする際に使いこなせるものを「発信語彙」(productive vocabulary)と呼んでいる。使いこなすためには、その語を正しく発音したり、つづったり、どんな文型でどんな語句と一緒に使うのかなどの知識が必要である。より良いコミュニケーションを図るために、受容語彙から発信語彙にレベルアップさせていくことも大切である。
語彙の意味を理解しているのと、その語彙を発信語彙として使える能力とは別物である。脳科学的には、日本語を経由せずに口から自動的に発せられなければならない。それでは、日本人学習者はどのような方法で口から自然に口から出てくるようになるのであろうか。私の答えは、「音読暗唱」である。そして、言葉のほとんどは複数の単語の慣用的な結びつきでできているので、連語(colocation)を多く暗唱してほしい。
繰り返すようだが、語彙の意味を理解しているだけでは発話するときに自動的には出てこない。それでは、日本語を経由せずに如何にすれば口から出てくるのであろうか。言い換えると、英語で考えて話す訓練が不可欠である。それには、英語圏で英語に囲まれて生活をするのが一番の近道である。が、日本語の世界に囲まれて生活する環境の中では現実的には難しい。本人自身が如何に日本語を経由せずに英語で考えて発話する訓練ができるかどうかである。工夫すれば話し相手がなくても独学ができるような気がする。もちろん、英語で考えるだけの必要な語彙数が求められるので、如何に語彙数を増やすかである。それには、私流の方法をご紹介する。前にも述べたが「音読暗唱」である。NHKラジオ英会話講師の大西泰斗氏の受け売りだが、「100回音読しよう」を勧める。それも、音声を聞きながら場面をイメージして音読するのを勧める。そうすることで、かなりの場面で表現できる力が身につくように思う。